「在るから在る、のではなく、要るから在るへ」
昔、某会議にて発言した言葉である。組織のスリム化のために、その事業すべてをゼロベースで考え直そう、という趣旨であった。
組織を運営するには、かならずコストがかかる。コストとは、もちろんお金も含まれるし、組織に属するものの時間をも含む。だから、少しでもそのコストを減らすべく効率化を進めることは、組織の存続において非常に重要である。歴史をふりかえれば、あらゆる統治機構が年月とともに肥大化していき、やがてはその身の重さに耐えきれずに自壊の道を歩んだことがわかる。もちろん、新たに必要となった事業を行うことも非常に重要ではある。しかし、新たに作ることに比べて、不要なものを棄てることの方がその重要性を認識されていない。その結果、時とともに新たな事業が積み重なり、最初の状態からははるかに肥大化した組織体ができあがることになる。新たに作るものがあれば、その一方で棄てるものがなければならない。それを怠れば、ついにはバランスを取りきれなくなり、身動きもできないままに崩壊ということになる。だから、既にあるものが本当に必要なものなのか、を常にチェックするべきであり、それは不足点を見つけだし、その補強のために新たに何事かを始めることに匹敵する作業なのである。運営を行う立場のものは、須くこの理を熟知していなければならない。